『おらおらでひどりいぐも』

若竹千佐子著
河出文庫

 これは読み始めた所ですが。子供たちも独立し夫が亡くなり一人暮らしの女性、桃子さんが主人公の小説です。
 いくつか入った挿絵は優しい雰囲気。リズミカルな文章と東北弁が特徴的です。まだ最初の方を読んでいるところですが、桃子さんが仏壇の前で激しく踊る場面に、ただならぬパワーを感じてドキドキしています。

坊守

『兄の終い』

村井理子著

CCCメディアハウス

 著者の村井さんは翻訳家で、エッセイの著作もある方です。この本は、その村井さんに、警察から東北のある町でお兄さんが亡くなったという連絡が入ってからの五日間の出来事と後日談、心情が語られたノンフィクションです。

 思い切りゴミ袋を振り上げている女性のイラストが印象的な表紙は、怒濤の内容にぴったりだと思います。大変な手続きや作業、怒り悲しみ、五日の間に会った人、時に面白かったことが、とても読みやすく書かれていて、一気に読んでしまいました。村井さんとお兄さんの関係は円満とは言えず、そのあたりの話も出てきます。

 インターネット連載のエッセイで、その後のことが書かれたものもあるので、気になる方は読んでみて下さい。

 余談ですが、村井さんが五日間を過ごした多賀城市の描写は、縁のある人には懐かしい景色やお店が登場するようです。

坊守

『あやかし草紙 三島屋変調百物語伍之続』

宮部みゆき著

角川文庫

 続き物の第五巻なのですが、ちょうどシーズン1の締めくくりです。是非一巻目の『おそろし』から読むのをお薦めします。

 とある事件が原因でふさぎ込んでしまった娘おちかが主人公。おちかは、江戸の町でお店を営む叔父夫婦の家に行儀見習いとして住み込みます。この叔父さんが、屋敷に人を招いて、不思議な体験を聞くという変わり百物語を開いており、姪っ子のおちかに、自分の名代として聞き役を任せると言うのですが、どうなる?というお話。語られる話は、かなり怖い話あり、ちょっとほのぼのした話ありで、どの巻もどんどん読めてしまう面白さ。人間の弱さや醜さも隠さないので、物語の緩急に夢中になれて、登場人物が好きになれます。話を聞くおちかの心が徐々に変化していく様子にも惹きつけられます。

 この変わり百物語は聞いた話は外部に漏らさない「聞いて聞き捨て、語って語り捨て」というルールなのですが、話し聞くことで、聞き手話し手どちらにも様々な影響があるのだなあと感じさせる小説です。

坊守