『奇譚蒐集家小泉八雲 白衣の女』

講談社文庫 久賀理世


 小泉八雲の著作で有名なものは雪女、耳なし芳一あたりでしょうか。アニメの昔話やラジオの放送で見聞きしたという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 今回読んだのは、その小泉八雲がまだ、パトリック・ラフカディオ・ハーンという名で神学校の生徒であった時の物語です。もちろんフィクションではあるのですが、参考資料としてたくさんの本があがっています。当時のイギリスとアイルランドの関係だったりヨーロッパで起こった戦争が物語に絡んできます。

 小さな頃から不思議な伝説に興味があり、多くの人に見えないものを見てしまうパトリックを、その友人オーランドを語り手として描きます。パトリックの故郷アイルランドで休暇を過ごすオーランドですが、バンシーという妖怪に悩まされる貴族の屋敷に招かれることになります。さて、どうなるというお話。怪奇幻想の部分、アイルランドの歴史と貴族の一家の秘密にせまるミステリの部分、主人公2人の生い立ちと友情など、盛りだくさんの物語でした。

 日本に来てからの八雲はテレビ番組などでも取り上げられることが多いのですが、それ以前の八雲についてはあまり知らなかったので、とても興味が湧きました。

釋尼光智

2021-02-16 | カテゴリー : 感想 | 投稿者 : stan