新宗教や新新宗教について〜島薗進氏の講演の要約

釋龍源

 この頃、統一協会やエホバの証人など色々と宗教の問題がニュースで取り上げられるようになりました。

 新宗教と新新宗教についての講義を受けたのでお伝えします。

 戦中から1960年代にかけて起こってきたのが新宗教です。信者が入信するきっかけとなる問題は病気・お金・家族の不和・家庭問題を解決するためです。信者同志で支え合って一緒に良い世界を作っていこう、発展していこうという目的を持って多くの宗教が起こってきました。神道系や日蓮宗系の宗派が多いのも戦中の宗教の特徴です。

 死後の救いではなく、現在の私たちが、いかに幸せに暮らすかを目的として、皆で切磋琢磨して行こうという宗教が多いです。

 その後1970年代から新新宗教と呼ばれる宗教が起こってきます。それはバブル景気の中でお金だけで本当に幸せになれるのか、またバブルの崩壊で幸せって何だろうか? と悩んだ人々が自分自身の救いを求めたものです。みんなで現世で幸せになって救われていこうというのではなく、「私が死ぬべき体を持って生きている、この私というものがいかにして救われていくのか」ということを中心とした新しい教えが説かれるようになっていきます。教えの内容としては輪廻や死後の世界などを強く説く教えです。

 そして、現代では宗教離れといわれ、全世界で宗教から離れていくような傾向があります。利己的な生き方をする。そんな人々が増えています。それが現代の宗教の流れです。

 鈴木大拙氏は「利他的な生き方、慈悲の生き方をしていかなくてはならないです」と説いています。伝統的な仏教教団も自分自身の悟りだけでなく、周りの人々も救っていくボランティアや子供食堂など、人々の身に寄り添いながら支える教団になっていこうと、それぞれの宗派や寺が努力しはじめています。

 はるか昔から伝統的なお釈迦様の教団も、自分自身が悟りを開くという上座部仏教の教えから、出家していない人も救われていくという大乗仏教の流れが生まれるといった動きがありました。時代は何千年も違いますが、同じように宗教の教理を深める動きと、周りの支える人々の救いをいかに実行するのかという流れがあるように思います。

 イスラム教やキリスト教も同じように、僧院にこもって修行するという宗派もあれば、 周りの人々を救っていこうという宗派もあります。

 時代によって求められるものがどんなものなのか、宗教の救いというものがその時代の社会の姿を現しているというお話でした。