『屋根裏博物館の事件簿』

中公文庫 澤見彰

 高度経済成長のころの日本を舞台にした民俗学ミステリーです。

 内容はフィクションなのですが、登場人物の一人のモデルになった渋沢敬三は実在の人物で、タイトルにもなっている屋根裏博物館を自宅に開設し民俗学研究をしていたそうです。

 主人公の少女あずみは両親を亡くして子供の頃の記憶を失い、渋沢敬三に引き取られたという設定です。屋根裏博物館の研究員の林とあずみのコンビが、地方の風習にまつわる謎をフィールドワークを通して探っていきます。今も昔も格差があり、過酷な環境に置かれた人たちの歴史を記録しておきたいという林の姿勢が印象的です。

2020-12-18 | カテゴリー : 感想 | 投稿者 : stan