昨年の秋、プロレスラーのアントニオ猪木さん亡くなられました。彼が引退式で諳んじた言葉をご存知でしょうか。
この道を行けばどうなるものか、危ぶむなかれ。
危ぶめば道はなし。 踏み出せばその一足が道となる。
迷わず行けよ。 行けばわかるさ。
という名台詞です。世間では一休宗純の言葉と知られているそうですが、実は浄土真宗のお坊さんの詩に似たものがあります。
愛知県碧南市にある西方寺の清沢満之の孫にあたる清沢哲夫という方が昭和二十六年に発表した著作『無常断章』に次の様な詩が掲載されています。
「道」
此の道を行けば どうなるのかと 危ぶむなかれ
危ぶめば 道はなし
ふみ出せば その一足が 道となる その一足が 道である
わからなくても 歩いて行け 行けば わかるよ
清沢哲夫は西方寺の改革をしようと運動しましたが、今まで通りのお寺を求める門信徒と折り合いが悪くなり西方寺から出て行くことになります。この詩はその頃に書かれたもののようです。
「不安に思うけれど新しい一歩を踏み出せよ。その一歩が道となる」と励ましてもらえる言葉です。